「Web標準の日々」レポートその1:ゼロから考えるユーザー・エクスペリエンス概論

画像:[Web標準の日々]バナー

7月15日(日)と16日(月・祝日)の2日間に渡って開催されたWeb標準の日々に、参加しました。どのセッションも豪華な出演者で本当は2日間とも参加したかったのですが、都合により残念ながら2日目だけ。

JavaScript/Ajax/DOM関連や、XHTML+CSS関連のセッションは、ものすごく魅力的ではあったんですが、今回はできるだけ知識を「深める」のではなく、興味・関心を「広げる」というのを個人的なテーマに置いて、あまりなじみのないテーマのセッションを選んでみました。参加したのは次のとおり。

  • ゼロから考えるユーザー・エクスペリエンス概論 ~使いやすければいいの?~
  • ソーシャルメディアが生み出すコンテンツ多層化と意味変化
  • プロカメラマン直伝 Web用デジタル素材の撮影・出力プロセス
  • パネル・ディスカッション:ブラウザはどこに向かうのか?

どれも内容が濃く、まとめるのが大変なので、一つずつ書いていこうと思います。まず最初は、「ゼロから考えるユーザー・エクスペリエンス概論 ~使いやすければいいの?~」です。

ユーザー・エクスペリエンスとユーザビリティの違いとは?

このセッションでは、ユーザー・エクスペリエンスとユーザビリティの違いについての話がとても興味深かったです。

「ユーザビリティ」とは「わかりやすさ(使いやすさ)」を追求することですが、そこには「誰もが使いやすい=何も考えずに使える=当たり前すぎてその素晴らしさに気づかない=付加価値がない」という状態に陥る危険性が潜んでいます。(カップ焼きそばの「ジェット湯切り」のUIは素晴らしいが多くの人々はその価値には気づいていない、という例えを出されていました。)

それに対して、「ユーザー・エクスペリエンス」は、人々に感動・感銘・衝動を与えるもので、付加価値が含まれていなければならない。つまり、「ユーザビリティ」がマイナスからプラスマイナスゼロへ「Value(価値)」を引き上げることであるとするなら、「ユーザー・エクスペリエンス」はプラスにまで価値を高めることだということです。

また別の視点で違いを見てみると、「ユーザビリティ」が高い状態とはすなわち「よく知っている、スムーズ、使いやすい、予想通り、理解しやすい、学習しなくてよい、教科書どおり、定まったルール」ということですが、印象にはあまり残りません。そこには「弱いコミュニケーション」しか存在せず、「Interest(興味)」という観点では、「好き」でも「嫌い」でもなく「無関心」という状態に近づくことになります。

一方、「ユーザー・エクスペリエンス」とは、使っている人に何らかの「ひっかかり」を感じてもらう、すなわち「強いコミュニケーション」ということになります。「無関心」ではなく「好き」、場合によっては「嫌い」の方向にベクトルが向くことがあってもいいかもしれない。何らかの「印象」を残せば成功ということになります。

ただし、「ユーザビリティ」がまったくダメだということでは当然なく、ユーザーインターフェースの95%は使いやすさを追求しなければならない。ただしここぞというポイントでひっかかりをあえてつけることによって、ユーザーの印象に残るサイトになるのではないか、というお話でした。

「ユーザー・エクスペリエンス」については、このセッションの中でも紹介があったウェブ戦略としての「ユーザーエクスペリエンス」という本を読んだことがあったので、知識がまったくのゼロというわけではなかったのですが、「Value」と「Interest」という2つの視点からの「ユーザビリティ」との差に関する考察は非常に鮮やかだったと思います。出演者の小久保さんの職業はマークアップデザインエンジニアで、「ユーザー・エクスペリエンスについては専門家ではありません」と最初に断られていましたが、内容はとても「ユーザー・エクスペリエンス」に富んだものだったのではないでしょうか。

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