FRONTEND CONFERENCE 2019 に登壇しました
11/3 にグランフロント大阪で開催された FRONTEND CONFERENCE 2019 で「高齢者でも使えるプロダクト UI の挑戦」というタイトルで発表しました。
高齢者でも使えるプロダクト UI の挑戦 / Designing User Interfaces for the Elderly - Speaker Deck
高齢者にも使ってもらえるプロダクトにするために、これまで地道に改善を続けてきたことを事例として共有するという内容でしたが、ありがたいことに、発表後たくさんの質問をいただきました。その場でうまく回答できなかった部分もあったので、あらためてこの場で回答をさせてもらいたいと思います。
「色覚障害の見え方をチェックするためのおすすめのツールは?」
スライドの中でも紹介した NoCoffee という Chrome 機能拡張以外に、Mac アプリでは Sim Daltonism が使いやすくおすすめです。
「50px ってどうやって決めた?」
このスライドにある「50px」という数字はどのように決めたのかという質問でした。
その場では「えいやで決めました」と回答してしまったのですが、過去のチケットを探ってみたら、ちゃんと経緯が書いてありました。
Apple の Human Interface Guidelines では、コントロール要素のタップ領域を 44pt 以上の大きさにするよう定められています(参考)。この数字をベースに、指の揺れ幅を加味した結果「50px」にしたとのことでした。(ちなみに、この数字をあまり大きくしてしまうと、今度はスクロールがうまく効かなくなってしまうので注意が必要です。)
「高齢者のユーザービリティをあげると、他の年代の人にとって使いにくものにはならないか?」
高齢者にとって使いやすいものが必ずしも他の年代の人にとって使いやすいものにはならないかもしれないが、どのように考慮しているか、という質問でした。
例えば、パソコンやスマホを日常的に利用している人にとっては、「あいうえお配列のキーボード」で入力するよりも、普通にテキスト入力をするほうが使いやすいというのは間違いないと思います。ただ、そういったユーザーでも「あいうえお配列キーボード」が使えないということはないはずです。今のフェーズでは、あらゆる年代の方が自分の症状をタブレットで正確に伝えきるというタスクを遂行してもらうことが最も重要であり、若年層は多少回りくどい操作であっても使いこなせてしまうので、現時点では「使いやすさ」を追求するよりは、高齢者でも「使える」レベルにプロダクトを引き上げることに注力しています。このレベルをクリアできるようになったら、「使いやすさ」や「使って心地よい体験」というさらに上のレベルを目指していければと思います。
「左右の入れ替えで左利きのひとの考慮は?」
レイアウトを左右に入れ替えたというこのスライドについて、左利きの人だと問題が解決しないのではというご指摘でした。
まさに仰るとおりで、利き手に関係なく使えるようなレイアウトにするべきですし、そもそもこの画面は、他と比べて行うべきタスクが多く、ユーザーが最も難しさを感じる箇所でもあるので、まだまだこの画面には課題が多くあるとチームでも認識しています。引き続き改善をしていきたいと思います。
「チームがうまく機能しているように感じるのだが、どういう工夫をしているのか?」
その場では簡単に「スクラムがうまく機能しているおかげ」と回答しましたが、他の社員が別のイベントで発表した資料に、チームづくりの話が詳しく出てきますので、ぜひご覧ください。(前半は、今回の私の発表と重複した内容になっています。)
高齢者 UI への取り組みと自発的改善チームの作り方 / Elderly UI and Scrum Team - Speaker Deck
最後に
自分の発表を聞きに来てくださった方々、ありがとうございました。何か一つでも普段の業務に生かせるヒントとなれば幸いです。
FRONTEND CONFERENCE には毎年参加しているのですが、エンジニアリングとデザインの話がバランス良く聞けて、いつも刺激をもらえます。今年も多くの素晴らしい発表がありました。運営スタッフの皆さん、ありがとうございました。来年も参加できることを楽しみにしています!